オリンピックが延期になったら浮上するいくつかの問題

オリンピックが延期になったら浮上するいくつかの問題

世界の地図と国旗オリンピック
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオリンピックがどうなるのか心配されています。

現在のところ、予定通り開催と言われていますが果たして本当に開催できるでしょうか?

中止の判断は[IOCの事情]から絶対にありえないと言われています。

では開催延期せざるを得ない状況になった場合どうなるのでしょうか?

 

オリンピックが延期なら”いつ”が一番いいのか?

「予定通り開催」かはまだわからない

3月17日、G7後の会見で安倍首相が「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現するということについて、G7の支持を得た」と語ったことで、ひとまずオリンピックの延期論も中止論も収まりを見せています

ですが。こんな声も…

3月18日、フランスの水泳連盟の会長は「選手たちは練習する場所がない。大会の延期は必然だ」という意見を示しました。下の分が原文です。

こうした中、フランスの水泳連盟のジル・セジョナレ会長は18日、フランスの新聞のインタビューの中で、「選手たちは少なくとも30日から45日は練習ができない見通しだ。水泳の施設はすべて閉まっている。選手たちは練習ができないという重圧に直面して怒っている。われわれはこのストレスを早く取り除くべきだ」と訴えました。

そのうえで、「東京オリンピックの大会の延期は必然だ」という意見を示しました。

出典:NHK NEWSWEB

上記「フランスの水泳選手」のように練習をする場所がないだけでなく、

新型コロナウイルスの影響で代表選考会が中止・延期になっている競技もあり、現在再開の目途も立っていない状況です。代表選手の4割以上がまだ決まっていないとも言われています。強化合宿や強化試合もほぼすべてキャンセルされているなかで、選手にとっては今の状況はベストではないということだけは確実にいえますね。

 

中止はIOCの意向で絶対にありえない

オリンピックの中止は日本経済にとって大きな痛手となりますが、オリンピックを運営するIOCにとっても収入源である放映権料が入ってこなくなることから、中止は「IOC」としてもあり得ないと言われています。

では、やむを得ない場合開催延期はあるのでしょうか?

「延期の問題」はお金とスケジュールが関係してきます。

 

延期するならいつ?スケジュール的には

今年中の延期は不可能?

今年中の延期はアメリカの都合で不可能だと言われています。

そのわけは、ズバリお金の問題。

IOCの収入の半分は、放映権料からですが、そのうちの半分がアメリカの放映権料だと言われています。つまりIOCの収入の1/4はアメリカの放映権料が賄っているのです。

アメリカは今年の10月からスポーツイベントが目白押しのため、オリンピックが秋にずれ込むことを嫌がります。莫大な放映権料を払っているアメリカが首を縦に振らなければ、秋開催は無理だと言われている理由です。

放映権料だけの問題であれば、アメリカの放映権料は10億ドル(約1100億円)と言われていますから、その放映権を日本で買えばいいという案まで出てきています。

アメリカさえ首を縦に振ってくれれば、一番いいのは今年中の開催ですね。

少し後にずれ込むだけなので、大幅な調整も必要ありません。

 

1年後に延期したら、世界選手権と重なる

では、1年後だとどうなるのでしょうか?

1年後も、スケジュールが決まっています。7月は世界水泳と8月には世界陸上があります。7月の世界水泳は福岡で開催されますが、8月の世界陸上はアメリカでの開催です。ここでもまた、アメリカとバッティングです。

1年後だとスポーツイベントの予定が決まっているのでスケジュール的に厳しい状況と言われています。

 

2年後の延期は予定は空いてるけど

では、少し長くなりますが2年後ではどうでしょうか?

東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事が「1年か2年延期が現実的な選択肢」と見解を表明しています。

また、1年延期の場合はスケジュールが詰まっているので2年延期の方が現実的な選択肢だとも述べています。

確かに2年後だと、夏のスケジュールは空いています。

ですが、冬季オリンピックと重なること、秋にはサッカーワールドカップが行われることなど、もしここに東京オリンピックを持ってくるとなると、この年はビッグイベントが3つも行われる年になると言われてます・・・スケジュール的には問題はなさそうですが。

 

スケジュール選手にとってお金の問題
今年中の延期(日程変更)10月以降だとアメリカのスポーツイベントと重なる何とか調整可能
1年後の延期世界水泳と世界陸上代表選考会やり直し?先延ばし費用が掛かる
2年後の延期スケジュールは空いている代表選考会のやり直し先延ばし費用がかさ

 

 

オリンピックが延期になった場合のいくつかの問題

延期をするとしたら、どのような問題が発生するのでしょうか?

代表選手の取り消し

一番気になるのは選手のことです。「代表選手はまた一から選び直さなければいけないのでしょうか?」

◆代表選考
現在、IOCによると代表選手の約57%が選考終了。延期となった場合は、まず現状の選手で臨むか再選考するかを各競技団体と協議する必要がある 年単位で延期すると、選手の“旬”が変わるケースも出てくる。また、23歳以下のメンバーが中心となるサッカー男子は出場資格を失ってしまう選手の“救済”などを考える必要性が出てくる。出典:livedoorNEWS

上記には「延期となった場合、現状のままか再選考するか、各競技団体と協議する必要がある」と書いてありますが、普通に考えて 年単位の延期なら代表選考は再選考になるのではないでしょうか?

今回代表を逃してしまった人に関しては、また機会を得られるのでチャンスになります。代表として決定している人にとっては、もう一度やり直さなければならず、せっかく手にした日本代表のチケットが無効になるということですから、選手にとっては何ともいえない気持ちになりますね。

また2年後開催になると、東京オリンピックではなく、「別のオリンピックになる」とも言われ選手の立場からしたら、年単位の延期は中止と同じくらいダメージが大きいようです。

サッカーの年齢制限は?

23歳以下という年齢制限がある男子サッカーはどうなるのでしょうか?

もし仮に1年延期となった場合、出場できるのが「23歳以下」なのか、「24歳以下」に変更になるのかこの辺の問題も議論されなければなりません。

もし、現行のままだとすると、現在選ばれているギリギリの年齢(現在23歳)の選手にとっては、1年後になると非常に悔しい結果になります。

23歳以下のままだと、DFの渡辺剛(23)、MFの田中駿汰(22)、遠藤渓太(22)、FWの小川航基(22)らが出場できなくなる可能性も生まれてきます。

上記にも、「救済などを考える必要性が出てくる」と書いてありますね。

年齢の壁と戦っている選手にとって

延期と言っても、今年と1~2年先後では選手にとって大きく違います。まだ若い選手なら1~2年の差の影響はそれほどないかもしれませんが、もし「東京オリンピックを最後に現役を引退する」なんて考えている選手がいたとしたら、1~2年後までしているかも、あやしくなってきますね。

年齢の壁と戦っている選手にとっては、1~2年の延期は致命的かもしれません

会場の確保が難しくなってくる

東京オリンピックで「国際放送センターやメインプレスセンター」として使われる予定の「東京ビッグサイト」は1年先まで予約がいっぱいだそうです。

延期になった場合、この時期はすでに予約を希望している主催者で埋まっています。延期が現実になれば調整が必要となり「すでに合意された契約があるのなら、変更に伴って金銭保証にもなりかねない」とも言われています。

 ビッグサイトによると、仮に21年や22年の夏に延期になったとしても、この時期はすでに予約を希望している主催者がいて、契約に向けて「調整中」という。都の担当者は「すでに合意された契約があるならば、変更してもらうことは金銭補償にもつながりかねず、極めて難しいのではないか」と話す。出典:朝日新聞DIGITAL

 

延期が長ければ経費がかさむ

1年より2年の方が、スケジュール的に空いているのでその点だけ考えればいいような気もします。ですが、延期期間が長ければ長いほど経費がかさむと言われています。

コロナショックと消費税増税の影響で景気が悪くなる兆しが見えている中、これ以上ただ期間を延ばしたばかりに生じる無駄なお金は使いたくない気もします。

それでも中止になるよりは断然、延期の方が経済的損失は少ないと言われているのでやむをえないですね。

 

各国の要人メンバーの入れ替わりも

今年開催か1年後か2年後かの違いはこんな所にも表れます。

今年中だと、11月にアメリカ大統領選がありトランプさんが再選したら、オリンピックに関係する要人メンバーはあまり変わりがないですが

2年の2022年だと、安倍首相ではないかもしれません(安部首相は4選はないと言われていますので)IOCのバッハ会長も、2021年IOC内での会長選がありどうなるか分かりません。

まぁたいしたことではありませんが・・・

 

今年中の延期は「延期」ではなく「日程変更」

今年中の延期はオリンピック憲章によると、延期という解釈ではなく日程変更という解釈になるそうです。

元JOC参与の春日良一さんによれば、「年内なら、オリンピック憲章にない『延期』ではなく、『日程変更』という解釈になる」という。つまり、規則上の障害は小さい

2年後となれば、選手の多くは入れ替わる完全に別のオリンピックになって、今年の出場を決めていた多くの選手には取り返せない打撃になる。
施設などの調整においても、1年後、2年後、間が開けば開くほど犠牲や出費がかさむ。通常なら、秋への変更は時間がなくて厳しいが、いまはコロナウイルスの影響で、秋のスポーツスケジュールやホテルなどの宿泊予約も白紙に近い状況になっている。いまならリセットも、比較的しやすいのではないだろうか。

出典:DIAMOND online

年内開催になれば、規則上の障害が小さいだけでなく、選手の問題・施設の問題などもクリアになってきそうです。

ネックになるのやはり「アメリカがどう出るか」ですね。一筋縄ではいかなさそうです。

ハードルは高そうですが、「年内での日程変更」が一番良さそうな気がします…

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